2017.08.17 Thursday

ハートHヴァイオリン時計の制作 その2

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    最も重要なのは、ケースの側板が綺麗な曲面に仕上げる外側型枠の出来如何で良し悪し
    が決まります。
    ご存知!ヴァイオリン製作者ストラディヴァリオスの製作法を手本に自作したヴァイオ
    リンでの専用工具作り・ヨーロッパの木工技や材木の知識・膠付けの秘技をイタリアの
    職人から直接学んだり、輪っぱ技法・下地仕上げからのオイルニス塗装技法を失敗から
    習得、松ヤニから専用ニスを調合した経験の集大成が、古時計の修復に開花したのかも
    知れません。

    自作ヴァイオリンで使用した内型(1/1サイズ)とハートH時計の外枠(チェロ?)
    の対比。

     

     

    少し横道に外れますが、私の大まかな内型の使い方を暴露します。

    楓を厚さ約2ミリの側板(リブ)を熱湯につけ半田ごての芯で熱しながら曲げ輪っぱ状
    にした物を(アッッパーバーツ、インナーバーツ、ローバーツ)6枚を作ります。縦横
    の木目が絡む楓材を、薄板に仕上げるのは簡単ではありませんし、湾曲の強い部分を熱
    して曲げるのは、焦がしたり、薄くなったり最悪は割れてしまう戦々恐々の作業です。

     

     

    6つのブロック(柳の柾目材)後で取り外し易くするため、弱めの膠付
    けをする。内枠湾曲の外周に余計な膠が付かないように、石鹸水を塗っ
    ておきます。膠が完全に乾きましたら、石鹸はウエットティッシュで簡

    単に拭い取れます。

     

     

     

    ブロックの角を丸くしてリブが出来上がります。
    この後もより難しい工程が幾重にも控えています。

    本線に戻します。

     

    12、ハートH8角尾長マシーンを流用すると言っても、オリジ

    ナルにリメークするのには条件を一致させなければなりません。

    ケースの厚さは薄いし、

    振り子棒の長さは短い、

    振り玉の重は重い、

    ガラス枠の厚さは薄い

    振り子玉は銀メッキ、

    裏板に名古屋組合のシールが貼ってある。
    ゼンマイ軸が長いのでカット。

     

    針中心から振り子玉の下端までの長さ235ミリにすれば、振り子

    室ガラスの中央部に振り子が覗くようになります。

    振り子棒や振りべら板バネの長さ調整は振り子の支点を移動させたり、

    振り子玉の重さを調整をやり遂げる必要があります。


    これまでの一部始終をまとめました映像をユーチューブにアップしました。

    ケース作りのご興味をある方は、ぜひご覧ください。

     

     

            

     

     

     


     

     

    2017.07.26 Wednesday

    💗 ハートHヴァイオリン時計の制作 その1

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      ストラヴィのヴァイオリンをモデルとした自作ヴァイオリンを作ったり
      ユンハンス時計ミニヴィオリンケースを作ったり何故かヴァイオリンに
      深い縁がありまて、ひょんな切っ掛けでハートHヴァイオリン時計の復
      元注文をお受けし、10年ぶりに再作した記録です。

       

       

       

      ご注文を承ってから、気の向いた時や無心な時に手を加え、気がつくと

      一年が経過していました。もちろん、ご注文主様は『まだ、できませんか?』
      なんて野暮の言葉はなし。気ままで楽しい作業工程を振り返えります。



      1、本家(オリジナル)を座右に置いて、計測したサイズを元に各種の図面や構造図
       ・各パーツの細部図を実寸作図します。


      2、本体の外周に合わせた外型枠を(縦 690mm  横400mm  厚さ 70mm)、
           合板5枚を貼り合わせて作ります。

       

       

      3、オリジナルと同じ部材を(十分な乾燥済み)を用意します。特に表板の欅材
       は細くて脆弱な部分が点在し、いずれはヒビが入るので、ヒビ貫入を防ぐため
       に、事前にビスケットジョイナーを埋木して補強をしておきます。
       

       


      4、側板をダルマ時計の曲面に見られるように、板に等間隔でスリットを切り
      込こんで、熱湯に浸けて型に入れて曲げて行きます。アッパーバーツ外板、ダウンバーツ
      外板とスリットの切り込み深さと間隔を均等にするににのは至難の技で、下手をすると
      外板を割ってしまったり、歪んだり、綺麗な曲面には仕上げるには試作をくり返して技を
      習得するしかありません。

       

       

       

      曲面カーブ部分毎に異なり、スリットの間隔もそれなり調節する必要があります。ただし
      インナーバーツだけは、本家同様に原寸に合わせて厚木を何枚も糸鋸で削り、貼り合わせ
      て一体化材としたことで、作業効率と強度をアップできました。

      5、外型枠と側板が密着するように、湯がいた側板が冷えない内に(熱湯の温度と浸す時

      間は非公開)型に入れます。ご覧のように要所要所へ適応するクランパーを使い分けて圧

      力を加えて曲面にします。

       

       

       

      6、インナーバーツの湾曲側板両端に上下バーツの側板端と隙間のないように密着させます。

      それぞれの側板長さの見極め慎重にカットします。

       

       

       

      7、裏板にハートHオリジナルマシーンを仮置きし、干支位置を見極め渦巻きリンをネジ止める。
      振り子室にオリジナルと同じ、シワをプレスした黒い背表紙専用の紙を貼ります。

       

      8、表板エッジを付ける前に、砥の粉と黄色水性ステインを混ぜ、ケヤキ独特の目止めを

      してさらに数色の水性ステインで彩色を施し、カシュークリアーで拭き漆塗りを5回繰り

      返し、均一で深みのある木目塗装が出来上がります。

       

       

      9、裁断面をかまぼこ状に削ったエッジを付けて、スリット面を隠すと同時に、角を保護を

      します。

       

       

      10、エッジと側面・F字・プレート・緒留・ガラス枠に目止め>サーフェーサーで下面を鏡面

      に仕上げる>カシュー黒塗装。側面に金箔で2重截金をする。プレートに金箔でトレードマー

      クを書く。緒留に金箔で弦を書く。金箔は時代感を出すために、薄く禿げたように見えるよう

      に処理する。振り子扉ガラスに金箔ガラス絵を書く。

       

       

       

       

      11、塗装を保護していたマスキングテープを剥がすと、ようやく本体が姿を現します。

       

                                       制作 和時計師 匠 亞陀

       

                                  続く


       

       

      2017.07.03 Monday

      💗 台湾のパワーコレクターO氏のコレクションです。

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        5月下旬に、私のブログ愛読者であります台湾のO氏(60歳)が、工房にお越

        しなられ、収集方法の苦労話に始まり古時計談義で暑く語り合い、意気投合し

        ました。 

         

        日本に暫く住んでおられたそうで日本語は堪能です。台湾は言に及ばず中国国

        内にも数カ所の拠点で工場や営業所をお持ちで、手堅く経営されています。

        手当たり次第の収集段階を終えて、日本製に魅力を感じ現在は精工舎の全都市

        シリーズに目標を置いているそうです。

        動かない時計はご自身で修理をさなれ、疑問を解くために来房目的と判り、技

        術的な質問にはできるだけ丁寧にお答えし、親交と日台友好を深めました。
         

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         左 匠 亞陀  右 台湾のO氏 (工房 亞陀にて5月24日)


        後日、届いた添付画像には白亜のコレクションルームに整然を飾られ世界中の

        計を目にして、その質と量、種類、クオリティーの高さには驚くばかりです。

         

        レア物をはじめ、拘りの機種がさりげなく混在しています。なお、大理石床の

        レクションルーム公開に当たり、O氏からは、快くご了解して頂居ておりま

        す。

        お話では、ebayはもとよりオランダのcatawaki、台湾のmyday.com.tw の

        日本Yahoo!拍賣などの海外オークションでは時折、日本の珍品時計を見つけて

        おられます。

         

        オランダのcatawaki

         

        台湾のmyday.com.tw

         

         

        これ迄、チクタクの中年探偵団と徒党を組んで、名だたるパワーコレクター宅

        をお尋ねして、収集欲を満たす限界を超越した膨大なコレクションを拝見させ

        て頂きましたが、今回は一味違う高貴な気品を感じてしまいます。

         

        では、広大なコレクションルームへようこそ!

         

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        2017.06.12 Monday

        💗 190年の時動き出す

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          190年の時動き出す 故障の時計を落札し修理、金沢の井上さん - ホッとニュース |

          6・10 時の記念日 石川県ローカル・北國新聞社より

           

          http://www.hokkoku.co.jp/subpage/HT20170610401.htmj

           

           

           

           

           

          2017.05.30 Tuesday

          1830's American-Wooden Works clock movement  

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                   アメリカの作品 1830年代 Boardman Ogee 置時計木製のムーヴメント

             

            以前から米国製で、古ぼけて変色した木製の基盤に木製歯車で組み立てられた、

            一風変わった時計が気になり、好奇心を掻き立てられダメ元でジャンクマシーン

            を購入しました。

             

            タイプ5.113   ジェロームズ・アンド・カンパニー製造

             

             

             

            サイズ h  202mm w 163mm d 60mm

             

            調べてみますと、1830年頃(和暦では天保年間)にアメリカの西部開拓時代に生

            産していた分銅式置き時計の木製マシーンだと判明しました。

             

            当時はジャクソン大統領でインディアンとの抵抗戦最中、アメリカも産業革命を迎え、

            鉄道や航路が発達し、国内市場が拡大した。1850年代までに北東部を中心に重工業化

            が進み大都市圏が登場、企業経営を行う経営者や資本家が台頭し、資本主義社会とな

            った。そんな時代背景。。。。。。。

             

             

            当時の唯一の選択肢は、高価な欧州の時計を輸入することでしたが、一般家庭は安価

            な物を求めていました。とは言え、伝統的な金属製の仕組みを作り出すために必要な

            製造能力が欠けていました。

            そこで、

             

            東部の海岸に生まれた容易に入手可能な硬材に目を付けました。樫材の基盤、桜材の

            歯車(軸は鉄)、金属製部品はガンギ車やアンクルのみで、強度的もに弱い木製時計

            が左右の分銅(2kg ×2)を下げて動くこと自体が不思議でたまりませが、確かに動

            いています。振り子は168グラムと非常に重く、また振り子棒長さも60センチで、

            歯車の歯型を回転方向へ僅かに傾け、モーメントを弱する優れた設計です。

             

            分銅を下げる紐は一旦天井の滑車に引っ掛けて、できるだけ伸ばして稼働時間を持続

            する工夫がされています。このため、時計全体が大型化した置き時計となっています。

            多くは30時間稼働であり、ロングケースやフロアクロックキャビネットが一般的でした。

             

            1825年 コネチカット州ブリストルのサミュエル・テリー製造

            ダイヤルのコーナーや中央付近には華麗な金箔デザインを特徴としています。

             

             

             

            サイズ h 810mm  w 500mm       d 160mm 

                          disk 12inch

             

            映像を通して実態を感じていただけます。

             

            分銅を巻き上げる回転方向が通常とは異なり左右共に外巻きとなっています。間違って

            内巻きにすると歯先がすぐ折れるので、注意が必要です。ドーナー部品は皆無に等しく

            とも、木工加工に長ければ怖くはありません。

             

            歯先の補修例

             

            後に、木製マシーンは真鍮製に変化して行きますが、分銅方式とケースの様式は引き継

            がれ、最終的には分銅を捲き上る部分がゼンマイになりました。

             

            分解してみると案の定、作られてから187年も経過していると歯車の葉先が割れたり、

            亀裂がある、欠落、折れたり、すべてのほぞ穴(基盤に空いている歯車を差し込む穴)

            は楕円形にすり減る、樫は思った以上にに堅く、すべての歯車軸は基盤に接触していた

            部分だけくびれてすり減り段差が発生していた。しかし、歯車の形状は磨耗が見られず

            原型を保っています。

             

            第一工程は、葉先の不具合箇所にはいわゆる入れ歯や接木加工を施し歯車を修復、歯車

            軸径の異なるホゾ穴を大きめに思い切ってドリルで開けまして、そこに歯車軸径の異な

            る真鍮パイプを埋め込む作業が(ブッシング)永遠と続きました。これらの穴の中心がず

            れると歯車がスムーズで噛み合わなくなり一番骨の折れる作業でした。また、パイプが

            抜けないように膠で接着しました。

             

             

            組み立てるにも、一枚板の基盤だけに、のぞき窓がなくて、外部から軸穴(ホゾ穴)の

            位置が非常に見づらく(見えない)輪列を組むことも困難を極め、相当の忍耐が必要で

            す。組み立て途中、不手際で歯先は折ってしまう等、散々な目に合い二度とやりたくな

            いような分解組み立てでした。

            軸は鉄ですが、歯車は桜材やリンゴ樹材が使われ、加工が容易で硬くて粘りがあって、

            変化が少ないが、180年近くも経つと意外と脆く、無傷で残っているのはあまり見

            かけず、割れ・欠落・折れは覚悟の上で修復します。ミーリングマシーンを使って精密

            に造られ、強いトルクが負荷する歯先は回転方向に傾け、弱いトルクが負荷する歯先に

            はインボリュート曲線に使い分け、快適に回転します。逆回転させる事は禁物です。!

             

            次回は、同じ1820年代にドイツ・ブラックフォーレスト地方で生まれた木製基盤に

            組み込まれた鳩時計の原型とも言える、珍しい時計をご紹介します。

             

                            和時計師  匠 亞陀

             

             

             

            2017.03.05 Sunday

            🔴 ユンハンス・ミドルサイズ・オルゴールクロック

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              ユンハンスの4インチ一日巻き小型のオルゴールスリゲルは時折見掛けます。

              小差なケースから正時を告げる澄み切った大音量のオルゴールはノスタルジ

              ックで優雅が漂い、とても人気があります。

              これは、ゼンマイ車に接する2番車の傘歯車がオルゴールのシリンダーを

              ダイレクトに廻すため、強力なトルクで音量が大き響きます。

              オルゴールプレートは裏板の中央に取り付けられ、最良の箱鳴り状態となり

              響が素晴らしいもの頷けます。

               

               

               

               😞   今回リメークしたユンハンス・一週間巻き5インチ中型オルゴールクロックは、

              4本脚オールドマシーンを使用・香箱入りゼンマイ・琺瑯の干支と振り子玉、

              ビートスケール。

               

              不調法で曲名はわかりませんが、渦巻き鈴の時報とは違う優しく奏でるオルゴール

              の温もりで心がリフレッシュされます。

               

              3番車の傘歯車からシリンダーを廻すためトルクが若干控えめで音量も弱めですが、

              持久力に長けています。弱いパワーで一週間も稼働するオルゴールの調整が難しい

              のが難点です。

              古いオルゴールだけに、シリンダー両端の三角錐状軸穴は、経年劣化で異常なほど

              拡大、偏心していて修正に随分手間取りました。

               

              禿げかけた金塗装・なくなっていた擬宝珠・朽ちていたプリント干支や振り子玉等

              をリメークしてようやく蘇りました。

               

               

               

              プロポーション 5インチ干支 高さ 82cm 幅34cm 奥行き 19cm

               

              癒されるオルゴールがお楽しみいただけます。

               

               

               

               

               

               

               

              2017.02.03 Friday

              精工舎 オール黒柿姫ダルマの創作

              0

                工房 亞陀のホームページ

                 

                http://takumiada3.daa.jp/Photos/Welcome.html

                 

                 

                (抄)  work4 「黒柿姫ダルマケースの制作」から転用

                 

                 2008年2月、探してもそうは簡単に見つからない黒柿姫ダルマケースの制作を

                依頼されました。本物の精工舎の下地漆仕上げ姫ダルマジャンクを使い、文字盤

                枠と振り子枠それに中間部の装飾板を黒柿に改造して欲しいとの事で、これまで

                に黒柿ミニヴァイオリンを制作した経験が買われたようです。

                 

                 中間の飾りが違う5花弁ボタンとダイヤボタンの2種類を制作しました。黒柿

                の黒斑模様は指紋と同様に、この世に唯一無二となり、私が手塩にかけた only 

                one の証となります。

                 

                 この先どなたの手に渡ろうと、私が復刻した黒柿姫ダルマには代わりがありま

                せんし、黒斑を見れば判別が可能です。

                 

                5枚花弁ボタン・タイプ

                 

                ダイヤボタン タイプ

                 

                 

                 通常、黒柿ケースとは言われても、彫刻部分は無垢の黒柿を用いますが、柱や

                平面は桂材の上に厚さ1ミリ程度の黒柿すき板を膠で貼ったものです。

                 

                 今回は断面が波状のダルマ枠なのですき板貼りとは行かず、黒柿材厚5ミリ下

                板である桂材厚7ミリの合計16ミリ合板にしました。黒柿の黒斑模様を4枚で

                斑を揃えるのは至難の技でよく似た斑模様の材を数多く用意する必要があります。

                 

                 さらに、丸枠だけに文字盤枠は4枚(角材)で、振り子枠は6枚(角材)の木

                組板をそれぞれ、ビスケットジョイナーを下板桂部へ埋木をして強度を持たせ、

                丸枠を寄せ木で組みました。

                 

                 凹凸部の湾曲ははルーターで削ります。この時は黒柿部をうつ伏せにした裏面

                状態で削るため肝心の表面が隠れルーターの刃を見る事ができず、湾曲の深さや

                幅は注意深く測定しながらの勘に頼る作業は一発勝負で、削りすぎると万事休す

                となります。

                 

                 寄せ木部分は黒斑が揃わず不自然になるため、目立たないように薄墨修正します。

                 

                 

                 

                 

                 以上2台の姫ダルマは私が黒柿部分を復刻した事を充分ご認識されてお買い求めなさ

                いました。需要と供給からして、本物が欲しくても絶対数が無く、新たに作るご要求に

                お応えしたものでリプロ商品には違いありません。 

                 

                ところが、数年前にあるコレクターが展示会でこの黒柿姫ダルマを明治時代に作られ

                たと吹聴して高価な値段で売ったと知り、その方の常識を疑います。

                 

                 

                    ========  ブログに戻ります   ===============

                 

                 

                 

                 

                 その時以来、側板を含め全てのケースを黒柿で作らないかと要望がありましたが、

                黒斑の硬い部分と白斑の比較的柔かい部分が混在し、曲げ加工は難しいとされ自信が

                持てず躊躇していました。

                 

                 1台分の黒柿上下ガラス枠のスットクに背中を押され、曲げ加工に用いる外型枠

                作り準備を整えました。外型枠を使った側板の曲げ作業はスリット(溝切り)の深

                さと切削加工の安定化、溝の数、均等な溝の間隔、温熱曲げの最適な温度と曲げる

                タイミング、スリット部分割れの恐怖などの不安材料の一掃との戦いでもありました。

                 

                 

                 

                 

                 

                🔴 黒斑模様を生かした木取りで切削された材を、技巧的に木組みするか、高級な材

                は失敗を許されず、その加工に挑戦した記録です。

                 

                 

                 

                                       

                               和時計師  匠 亞陀

                2017.01.05 Thursday

                希少 ミニチア・スレンダーヴィエンアー

                0

                  外国のオークションで落札しようとすると、思わぬ事態に直面します。

                  1、注意書きに「日本には売ってやらないよ」と宣告しているアイテ

                    ムが最近増えています。そんな時は直談判を始める。

                  2、落札て振り込んだのに何度メールしても一向に返事かこない。

                  3、落札したのに、互いのカードシステムの違いで決算ができない。

                  4、オークションのシステムを無視して、売り手が直接決済をしたいがため、

                    コンタクトで互いのアドレスを交換を試みると、システムが自動的に

                    コンタクト機能不全になり、落札したのに支払いができない。

                  5、英語圏以外と売り手の取引で、まずい英語ではスムーズな意思疎通がで

                    きない。

                  6、アイテムが到着後売り手の輸送費の計算ミスを見つけ、返金交渉をする。

                  7、うっかり戦争中区域の売り手と知らず落札、ところが国の郵便機能が麻

                    痺していた。

                   

                  英語が堪能でもないのに、取引上のトラブルを克服して工房に渡来した内の

                  一台、スレンダーで優美なミニチュア・ビエンナーをご紹介したします。

                   

                   

                  華美な装飾を一切そぎ落とし、時計美と極小化を求め他の追従を許さない

                  世界的にも希少な、アーティスチック・ビエンナーです。

                   

                   

                   

                  1830年 ウイーン製

                  ローズウッドケース、木象嵌枠、吹き付けガラスはパテ止め

                  高さ 43cm 幅 16cm 奥行き7,5cm  琺瑯干支径    6,8 cm

                  1日半巻き、マシーンはスライド式の固定、振り子棒・振り子玉はリメーク。

                   

                  奥板は長年の乾燥で内側凸状に変形し、振り子背面と接触。凸部分をできる範囲で

                  そぎ落とし平面とし、黒檀の突き板を貼りました。

                   

                  振り子玉の重さは非常に軽過ぎて全く時間が合わず、振り子玉の隙間から鉛37gを差

                  し込んで役目を果たしました。

                   

                  通常の見かける、上宮飾りや下宮擬宝珠のホゾ穴の形跡が無く、物足りなさを感じた

                  ものの、シンプルの真髄に感服した次第です。

                   

                   

                   

                   

                   

                   

                   

                  動画です。

                   

                   

                   

                                          匠 亞陀

                   

                  2016.12.25 Sunday

                  英国製グランドファザーの修復

                  0

                    2000年にロンドンから帰国する際に、持ち帰った思いのあグランドファ

                    ザー(1800年代中頃 Bristalにて製造)が、重りをセットすると、時を刻ま

                    ず、重りを吊るしている紐が伸びきるまで下がってしまう修理のレポー

                    トです。

                     

                    ケースから取り出したマシーンだけの便と、振り子と錘だけを別梱包で送

                    ってもらいました。その際、Y宅配からアドバイスを受けて丁寧に梱包し

                    たそうですが、、、、緩衝材やプチプチで包まれて到着しました。ところ

                    が、大きくて重いマシーンの重さには耐えられない梱包で重篤な状態でし

                    た。幸いな事に、振り子と錘は完璧な梱包で無事に到着しました。

                     

                    宅配便業者は宅配のプロですが、梱包ノウハウに期待するのは止めた方が

                    良さそうです!

                     

                     

                     

                    驚いたことに、ダンボール箱の底に穴が空いて、アンクル受けと振り

                    子を取り付を兼ねた真鍮部品が飛び出し、自身の自重でヒビが入り歪

                    んでいます。

                    関連する部品も煽りを受けて、アンクル軸に歪みが、雁木歯先に変形

                    が見られます。他にも、文字盤を止めるピンがなく、今にも外れそう。

                     

                     

                    著しく重い錘(3,5Kgが二個)が起因して、基盤にある歯車穴の多く

                    が稼働回転方向のトルクですり減理、真円だった穴が楕円形に変化し

                    ています。

                    分解掃除、歯車穴整形、アンクル軸に歪み・爪先の修正、錘巻き上げ

                    車修正ほとんどの歯車(軸歯車)は隣と噛み合う部分だけすり減って

                    います。軸と平歯車の垂直度が狂いた物や軸先が僅かに斜になった物

                    等、不可抗力で被った被害が姿を現しました。

                     

                      各パーツは過重の影響と経年劣化に加え他に、輸送中のダメージを喰

                      っているらしく、分解すると思わぬ不具合に戦々恐々です。

                     

                      早速、脚立にマシーンを乗せる専用の台座を丈夫な材木で作る事から

                      スタートしそうです。

                     

                     

                     

                     

                    上下基盤に歯車軸を差し込むほぞ穴があり、以前の修理に新しいほぞ穴

                    を埋め込んだ(ブッシング)形跡がありましたが、トリク方向への摩耗

                    が激しく、楕円に摩耗していて今回も新しく6穴のブッシュングを施し

                    ました。

                     

                     

                    想定外の不具合

                    1・打ち方2番車に軸先から割れ(ヘヤーライン)が3センチ程貫入して

                      います。以前の修理は軸先を避けて金ロウ付けされていました。この

                      割れが原因で軸歯車の並行度が崩れ完全に歪んでいます。

                      直径1ミリの軸先に約3,5Kgの錘の負荷が掛かり、今にもすぐに軸が

                      割れ破壊しても不思議ではなく、安全を期して打ち方機構の停止を選

                      びました。

                     

                      この2番車は当初から錘の重さに耐えられなく荷重方向にねじれれた

                      末にひび割れしたと想われ、そもそも軸の材質や強度に問題を抱えた

                      設計ミスのようです。このような状態でお使いだったと知り些か驚い

                      ています。

                     

                     

                     

                     打ち方機構は1時間に感知するピンを抜き、打ち方関連のカムを真鍮ワ 

                     イヤーで固定して、完全に停止させました。但し、錘を巻き上げる事は

                     可能で、ある程度の高さまで巻き上げれは外見上も時錘との差異も解消

                     できる事でしょう。

                     

                     アンクル受けと振り子を取り付を兼ねた部品は、力で曲げると折れる危

                     険性があり、先ずは割れ部分を半田付けで埋めて固定、いつもの「壊す

                     つもりで治す」極意を敢行、下手にハンマーで叩いて修正すればヒビが

                     深く貫入して破断したと想像します。

                     

                    2・ムーンフェース歯先の不完全な補修痕跡

                     

                     

                     直径30センチのムーンフェース(カレンダーと同じ働き)は文字盤下

                     部のデイト盤と連動しています。ところが、見周囲にあるノコギリ状の

                     歯先に高低差があって、機能不全に陥っています。 幾つかの歯をハンマ

                     ーで叩いて雑に修正した形跡があります。

                     大型の旋盤でなければ均一に歯先を修正することはできず、前に修理し

                     た英国の職人は小さな卓上の精密旋盤しか持っていないと推察できます。

                     事前に低い歯先をタガネで圧延しおき、ムーンフェースを大型木工旋盤

                     のチャックで挟み、1歯ごとに精密ヤスリで全歯の高さとピッチ異常を

                     均一に整形するしかありません。

                     ムーンフェースが確実に進むかを監視するには一ヶ月と長引くために、点

                     検には2か月分もの分針をゆっくり手回して(24時間×62日)異常が

                     ないのを確認しました。

                     

                     

                    アンクル(振り子の往復運動を回転運動に変換する二つの爪軸歪み修正

                     アンクル押さえ歪み修正、

                     振り子アーム修正、

                     押さえ固定ピン2本ガンギ車(アンクルに連動する大変重要な車歯先整

                     形、偏心補正打方・時方糸巻き車押さえ板ばね補正

                     上下基盤にある歯車の穴(ほぞ穴)摩耗に伴う拡大のたほぞ穴を入れ替

                     えて復元

                     時方糸巻き車、2番車、3番車、ガンギ車のホゾ、ムーンフェースノコ

                     ギリ歯整形

                     ムーンフェースストッパー補正

                     オーバーホール

                     機械固定板2枚

                     文字盤固定ピン4本

                     基盤固定ピン3本

                     カム固定ピン

                     針止め皿座座金針止めピン

                     カム止めピン

                     

                    古時計にありがちな歯車の疲弊は、すでにすり減った遊びで相殺されて、誤魔

                    化しの状態で稼働していました。この状態を一つでに正常化すると、すべてを

                    修正しなければ決して稼働せず、ジレンマとの戦いでもあります。

                    古ければ古いほど部品の遊びは遊びが大きくなり、常に変化しています。

                    遊びの幅を最大限を許容する修正が、良し悪しを決めるよ言っても過言ではあ

                    りません。

                     

                    進行するにつれ障害をクリアーしても、更により甚大な障害と遭遇し曲者のグラ

                    ンドファザーで大いに楽しませて頂きありがとうございました。

                     

                    2016.11.16 Wednesday

                    🔴 2016年版 地球儀時計修復奮戦記 第二弾 その2(ケースの部)

                    1

                    🔴 2016年版 地球儀時計修復奮戦記 第二弾 その2(ケースの部)

                     

                    2015.03.05

                    今晩はTさま、確認のご連絡ありがとうございました。

                     

                    木造文化財の腐朽の補強と永久保存を目的に開発されたポリ

                    ウレタン系の木質強化浸透液で木を固める効果に望みを託し

                    て、ケース部の修復に移ります。

                     

                    歪み箇所の接合部分には必ずと言って段差が生じて、これを

                    面イチに削り段差を無くします。

                    凹み部分はパテを充填し、表面の虫食い穴に爪楊枝を差し込ん

                    でも、穴が近くに一杯ありまるでスポンジ状態、穴は無数点在

                    しており、以上の不具合箇所を一つ一つ丁寧に修正します。

                     

                    これ以上、思わぬ不具合に出く合わせないようにと、祈ってい

                    ます。

                     

                    ━━━━…‥・・‥…━━━━

                    2015.04.16

                    今晩はTさま、以前にもお知らせいたようにケースの劣化は当

                    初思っていたよりも最悪で虫食い穴が非常に多くて、爪楊枝を

                    差し込み埋めても埋めてもまた新たに穴を見つけ終わりのない

                    穴埋め作業に終われています。歪みを直そうと試みるも木が割

                    れる恐れがあり腫れ物に触る想いでの作業です。

                     

                    穴は表面から内部まで方向は様々なれど、ほぼ真っ直ぐに開い

                    ているからこそ埋められます。とは云え、方向が不鮮明なもの

                    や内部で別れている・隠れているもの・重なり合うものがあり、

                    難儀で、最終的には500本入りの爪楊枝2パックを使い切り

                    ました。

                     

                    各パーツの画像でお分かりのようにまるでハリセンボンのよう

                    です。平面仕上げをしたいのですが、なんと段差を幾つも見つ

                    けこれまでの機械修復以上に時間と根気が必死となりました。

                     

                    まずは、現時点の進捗状態をご報告します。

                    これまでの工程と完成までの工程をブログ等で公表したく、ご

                    承知願えませんでしょうか?

                     


                     

                     

                     

                     

                    2016.08.17

                    今晩はTさま、4層の工芸漆塗りを漸く完成しました。

                    1層に付き、漆を塗り凸凹を砥石で磨き、その上の漆を重ねまた研

                    いで繰り返す事4回。

                    上ふた・リング状のふた・文字盤装着箱・リング状の台座・この4

                    階層ケースなので修復時間と苦労はご想像頂けるでしょうか。

                     

                    塗装後も階層一つ一つは乾燥による反りは歪みが顕著でして一層ず

                    つを平面度を修正してこれからマシーンを組み込みとします。

                     

                     

                     

                     

                     

                    2016.08.28

                    おはようございますTさま、長時間と手間を惜しみながら千辛万

                    苦の想いの末、ここ数日は何事もなかったように順調に稼働して

                    います。

                    スボンジ状の多層虫食ケースを漆黒の黒光りに仕上げ(つや消し

                    仕上げではどうしても刷毛目が残り綺麗とは言えず艶仕上げとい

                    しました)になった威風堂々の晴れ姿をご覧ください。

                     

                    下面には人口漆の濃度の関係で角部分はどうしても薄くなった

                    箇所はありますが外見上はまったく問題ありません。

                     

                    多少の反りや、割れの痕跡はどうしても残っています。

                     

                    また、向かって左の龍はFRP樹脂製で(固定ネジは目一杯締める

                    のは禁物)、これも黙っていれば後作はまず判らない仕上げとな

                    っています。

                     

                    ただ、強度はオリジナルの真鍮とは比べもにならなく弱く、使用

                    にはご注意下さい。

                     

                    地球儀の取り付けは、まず、12時で地図上の日本付近を定位置

                    軸に合わせて軸に差し込み、オリジナル龍のネジを緩め龍のスリ

                    ットにうまく滑らすように入れます。

                    地球儀の傾きを軸の延長に合わせ、オリジナル龍の止めネジを締

                    めます。

                     

                    左右の龍のスリットネジを優しく締め(左の樹脂製は目一杯締め

                    るのは禁物)地球儀の位置を決めます。

                     

                    機械修復代金はすでにお伝えしましたが、艱難辛苦したケースの

                    下地素上げや塗装に関してのご請求はこれから検討させて戴くと

                    して、2年余りもかかったケースの仕上は初めてで、最初にお預

                    かりした満身創痍の姿を思い出す度に、ここまで待って頂いたT

                    さんの熱き思いにお応えでき職人冥利に尽きましす。

                     

                     

                     

                    2016.08.29

                    今晩はTさま、時計に下に敷く台座の材を昨年作ってあったのですが

                    現在板が反って使い物にならないようで困っています。

                    左右2枚の厚さ15ミリ幅260ミリ朴の木の側面にビスケットジョ

                    イナーを埋め込み補強と防反りを配慮した後、接着剤で貼たのにがっ

                    くりしています。

                     

                    合板やベニア板・集積材は変質があり使用できず、木目が少なくて緻

                    密な木材がそれほどなく、明日材木店で探してみます。

                     

                     

                    2016.09.05

                    こんばんはTさま、思い起こせば2年余もお預かりした期間は当初とは

                    異なり、殆どはケースの補修に尽くされ木地固は思いの外、困難で同じ

                    工程の繰り返しで根気との戦いでした。

                     

                    何はともあれ、先ずは画像を添付いたします。

                     

                     

                    反った材木は製材所の特殊な電動カンナで削ってもらってもまだ反

                    りに残留があり最後の最後まで気を持たせました。

                     

                    ケースの仕上げにかけた時間と手間は膨大でしたが、そんなことより

                    も最後ままで成し遂げた根性をご理解いただければ幸いです。

                     

                     

                     

                    2016,10,11

                    お車でご来沢とお聞きしていまして、工房の近くになったらお電話く

                    ださい。その折には当方の駐車場までご案内します。

                     

                    **から車ですと片道6時間ほどでしょうか、大変な距離となり、交

                    通安全に徹してお気をつけてお越しくださるよう祈っています。

                     

                     

                     

                    2016.10.28

                    今晩はTさま。

                    確か、地球儀時計を明日に金沢まで取りに来られる予定があると伺っ

                    ていますが、明日何時にご来店の予定かご連絡くださるようお願いし

                    ます。

                     

                    折角遠くからお越しいただけるそうで、大いに歓迎したく思います。

                     

                     

                     

                    2016,10,28

                    こんばんはTさま、無事お帰りとお聞きし安堵しました。ご遠方から

                    お一人の弾丸ドライブ(日帰り)で、疲労困憊だとお察し申し上げま

                    す。お疲れ様でした。今晩は冷たい麦酒で喉を潤して、ごゆるりとお

                    休みなさい。

                     

                    地球儀時計が鎮座していました跡は、修復していた苦労を思い出しな

                    がら物静かな空間が虚しいです。

                     

                    明日の組み立てを楽しみにしています。おやすみなさいませ。

                     

                     

                    追記

                    ブログの記載に当たり、快く受諾していただきましたTさんに感謝

                    を申し上げます。   当分は虫食い穴の修復は固辞いたします!

                                           

                                     完

                     

                                 和時計師 匠 亞陀

                     

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