2017.10.18 Wednesday

尺時計 波板式黒漆塗り金泥文字板

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    尺時計 波板式黒漆塗り金泥文字板(文末に映像あり


    明治6年一月一日以前は不定時法を用い、日の出かの時刻と

    日没の時刻とを決め、の出から日没までを昼とし日没から日

    の出までを夜として、昼・夜の長さを6等分したものを1刻

    としました。従って一年中昼夜の長さの違い、一刻の違いも

    あり、当然季節(24節気)の違いでに昼夜の長さに違いが

    あります。


    その違いを修正するには時刻を表示する駒を位置を節気ごと

    に手動で変える必要が生じました。


    そこで、尺時計の時刻を表示する駒を上下移動できる文字板

    と、横線が波状に書いてある板式文字板上で時刻を表示する

    駒を、水平移動して24節気を選べる波板式文字板が生まれ

    ました。

     

    今回登場の漆塗り波板式金文字板を修理した機会に尺時計を

    ご紹介します。

     

     

     

     

     

     

     

    十一中    冬至     12月22日
    十 十一節  立冬  大雪  11月 7日  12月27日
    十 十二中  小雪   大寒  11月22日   1月20日
    正  十節  立春 立冬     2月 4日   11月7日
    正  九中  雨水   霜降   2月18日  10月23日
    二  九節  啓蟄   寒露   3月 5日  10月 8日
    二  八中  春分   秋分   3月20日   9月23日 
    三  八節  清明   白露   4月 4日   9月 7日 
    三  七中  穀雨   処暑   4月20日   8月23日
    四  七節  立夏   立秋   5月 5日   8月 7日
    四  六中  小満   大暑     5月21日   7月23日
    五  六節  芒種   小暑   6月 5日   7月 7日
    五   中  夏至      6月21日   


    左端縦に
    六(暮れムツ・午後六時)に始まって、五・四・
    九(ここのつ・夜中12時)・八・七・六(明けムツ・午前6時)
    五・四・九(正午12時)八・七・六(暮れムツ・午後六時)

    右端縦に
    酉(トリ・午後6時))・戌(イヌ)・ 亥(イノシシ)・子

    (ネズミ・夜中12時)・丑(ウシ)・寅(トラ)・卯(ウサギ

    ・午前六時)・辰(タツ)・巳(ヘビ)・午(ウマ・正午12時)・
    未(ヒツジ)・申(サル)・酉(トリ・午後6時)

    錘から伸びたアームに取り付けられた駒を縦線の節気に合わせスラ

    イドします。

    本体を覆う桜材の硝子箱は本来は簡単に取り外せる物ですが、この
    尺は箱はケースと一体化され、機械の調整はその都度に、ケースから
    ネジを緩めて機械を外す煩雑な作業となります。

     

        


     

    2017.10.15 Sunday

    ドイツ製・1730年 黒い森の木のクロック

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      ドイツ製・1850年 黒い森の木のクロック(文末に映像)

       

      古時計に携わっている者として、できるだけoldに固執するスタ

      ンスに立ち、今回はドイツの時計発祥の土地である、長いて退

      屈な冬の夜、黒い森の疑惑、決してロマンとは程遠いブラック

      フォーレスト地方(ドイツとフランス国境に広がる森林地帯)

      で1730年頃に小さなワークショップ作られたウッディーク

      ロックに注目しました。

       

      一見、鎖引きの鳩時計に似た物です。でも側面の小窓を開ける

      と見慣れたこれまの機械とは違い、木の板の間に歯車が並び、

      中世のような面影を感じさせる不思議な仕掛けがあります。

       

      早速ドイツのオークションに注目して、ネットサーフィンの挙句、
      数種類のどこの馬の骨とも判らないジャンクを研究のためと格安
      で落札しました。流石にこれだけ古いと埃や汚れ、部品の磨耗、
      壊れた部品など見るも無残な醜態を晒していました。恐る恐る触
      れている内に結構楽しめ、結果的によい勉強ができた気がします。

       

       

      ワークショップは木材職人と時計職人に見習いだけの小さな工房

      で、最初の木製時計を作成したのが出発点でした。

       

      木材が安く加工が、金属よりも処理が簡単、当時の金属加工は経費
      的に負担がかかる。そんなスタンスを逆手に取った木のクロックと
      は、、、
      基盤に樫材の板を使い、鋳型整形の真鍮で作られた頑丈な歯車が基

      盤に差し込まれています。全てのホゾ穴(歯車の軸を差し込む穴)

      真鍮の薄板を器用に丸めて加工したパイプが基盤に埋め込んであり

      ます。

       

       

       

       

      庶民に広く使われていたのか、ドイツ国内には今でも埃にまみれた

      ジャンクをよく見かけます。しかし、稼働している時計は国内では

      ほとんど見かけたことはありません。

       

      作られて160年経過しているのに、軸やホゾ穴の磨耗は以外と少

      ないのは、細い軸の効果と想われ、適切メンテナンスすれば後10

      0年位稼働するかも知れない。
      基盤は時方と打ち方がそれぞれブロックになって分解や組み立ての

      メンテナンスが容易です。

       

       

      歯車は、金型に真鍮流し込んで成型。歯先や軸を工作機械で仕上げ

      てある。基盤に開けられた全てのホゾ穴には、真鍮の薄板を器用に

      丸めて加工したパイプを基盤に埋め込んであります。

       

       

      構造や規格は基本的に各社は同じなので、部品流用は少しの加工で

      可能。

      基盤やケース・文字盤の接続は、長さ10mmの針金の先を折曲げた

      ピンを基盤の穴へ硬く差し込こむ、
      単純な針金フックで止めあり、ナットで止める概念はなかったよう

      だ。当然、分解組み立ては容易になります。

      当時は、見てくれは兎も角、動けば良しとし、ケース等の外見に重き

      を置いていました。

       

       

       

       

      構造は、今日に伝わる鳩時計の原型をなし、原動力は鎖引分銅式です

      が、後に香箱入りゼンマイ式と進化して来ました。数社が販売していた

      が、同じ規格のマシーンらしく、OEM製品と想われ現代ではジャンク

      から部品の流用が容易です。


      当時から既に、メカニック的に観ても完成域に達し、その構造はのち

      の世界のメーカーに影響を及ぼしました。

       

      1860年鎖引分銅式と香箱入りゼンマイ式の構造と駆動画像をご覧ください。

       

       

              15,oct,2017          takumi   ada

      2017.08.17 Thursday

      ハートHヴァイオリン時計の制作 その2

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        最も重要なのは、ケースの側板が綺麗な曲面に仕上げる外側型枠の出来如何で良し悪し
        が決まります。
        ご存知!ヴァイオリン製作者ストラディヴァリオスの製作法を手本に自作したヴァイオ
        リンでの専用工具作り・ヨーロッパの木工技や材木の知識・膠付けの秘技をイタリアの
        職人から直接学んだり、輪っぱ技法・下地仕上げからのオイルニス塗装技法を失敗から
        習得、松ヤニから専用ニスを調合した経験の集大成が、古時計の修復に開花したのかも
        知れません。

        自作ヴァイオリンで使用した内型(1/1サイズ)とハートH時計の外枠(チェロ?)
        の対比。

         

         

        少し横道に外れますが、私の大まかな内型の使い方を暴露します。

        楓を厚さ約2ミリの側板(リブ)を熱湯につけ半田ごての芯で熱しながら曲げ輪っぱ状
        にした物を(アッッパーバーツ、インナーバーツ、ローバーツ)6枚を作ります。縦横
        の木目が絡む楓材を、薄板に仕上げるのは簡単ではありませんし、湾曲の強い部分を熱
        して曲げるのは、焦がしたり、薄くなったり最悪は割れてしまう戦々恐々の作業です。

         

         

        6つのブロック(柳の柾目材)後で取り外し易くするため、弱めの膠付
        けをする。内枠湾曲の外周に余計な膠が付かないように、石鹸水を塗っ
        ておきます。膠が完全に乾きましたら、石鹸はウエットティッシュで簡

        単に拭い取れます。

         

         

         

        ブロックの角を丸くしてリブが出来上がります。
        この後もより難しい工程が幾重にも控えています。

        本線に戻します。

         

        12、ハートH8角尾長マシーンを流用すると言っても、オリジ

        ナルにリメークするのには条件を一致させなければなりません。

        ケースの厚さは薄いし、

        振り子棒の長さは短い、

        振り玉の重は重い、

        ガラス枠の厚さは薄い

        振り子玉は銀メッキ、

        裏板に名古屋組合のシールが貼ってある。
        ゼンマイ軸が長いのでカット。

         

        針中心から振り子玉の下端までの長さ235ミリにすれば、振り子

        室ガラスの中央部に振り子が覗くようになります。

        振り子棒や振りべら板バネの長さ調整は振り子の支点を移動させたり、

        振り子玉の重さを調整をやり遂げる必要があります。


        これまでの一部始終をまとめました映像をユーチューブにアップしました。

        ケース作りのご興味をある方は、ぜひご覧ください。

         

         

                

         

         

         


         

         

        2017.07.26 Wednesday

        💗 ハートHヴァイオリン時計の制作 その1

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          ストラヴィのヴァイオリンをモデルとした自作ヴァイオリンを作ったり
          ユンハンス時計ミニヴィオリンケースを作ったり何故かヴァイオリンに
          深い縁がありまて、ひょんな切っ掛けでハートHヴァイオリン時計の復
          元注文をお受けし、10年ぶりに再作した記録です。

           

           

           

          ご注文を承ってから、気の向いた時や無心な時に手を加え、気がつくと

          一年が経過していました。もちろん、ご注文主様は『まだ、できませんか?』
          なんて野暮の言葉はなし。気ままで楽しい作業工程を振り返えります。



          1、本家(オリジナル)を座右に置いて、計測したサイズを元に各種の図面や構造図
           ・各パーツの細部図を実寸作図します。


          2、本体の外周に合わせた外型枠を(縦 690mm  横400mm  厚さ 70mm)、
               合板5枚を貼り合わせて作ります。

           

           

          3、オリジナルと同じ部材を(十分な乾燥済み)を用意します。特に表板の欅材
           は細くて脆弱な部分が点在し、いずれはヒビが入るので、ヒビ貫入を防ぐため
           に、事前にビスケットジョイナーを埋木して補強をしておきます。
           

           


          4、側板をダルマ時計の曲面に見られるように、板に等間隔でスリットを切り
          込こんで、熱湯に浸けて型に入れて曲げて行きます。アッパーバーツ外板、ダウンバーツ
          外板とスリットの切り込み深さと間隔を均等にするににのは至難の技で、下手をすると
          外板を割ってしまったり、歪んだり、綺麗な曲面には仕上げるには試作をくり返して技を
          習得するしかありません。

           

           

           

          曲面カーブ部分毎に異なり、スリットの間隔もそれなり調節する必要があります。ただし
          インナーバーツだけは、本家同様に原寸に合わせて厚木を何枚も糸鋸で削り、貼り合わせ
          て一体化材としたことで、作業効率と強度をアップできました。

          5、外型枠と側板が密着するように、湯がいた側板が冷えない内に(熱湯の温度と浸す時

          間は非公開)型に入れます。ご覧のように要所要所へ適応するクランパーを使い分けて圧

          力を加えて曲面にします。

           

           

           

          6、インナーバーツの湾曲側板両端に上下バーツの側板端と隙間のないように密着させます。

          それぞれの側板長さの見極め慎重にカットします。

           

           

           

          7、裏板にハートHオリジナルマシーンを仮置きし、干支位置を見極め渦巻きリンをネジ止める。
          振り子室にオリジナルと同じ、シワをプレスした黒い背表紙専用の紙を貼ります。

           

          8、表板エッジを付ける前に、砥の粉と黄色水性ステインを混ぜ、ケヤキ独特の目止めを

          してさらに数色の水性ステインで彩色を施し、カシュークリアーで拭き漆塗りを5回繰り

          返し、均一で深みのある木目塗装が出来上がります。

           

           

          9、裁断面をかまぼこ状に削ったエッジを付けて、スリット面を隠すと同時に、角を保護を

          します。

           

           

          10、エッジと側面・F字・プレート・緒留・ガラス枠に目止め>サーフェーサーで下面を鏡面

          に仕上げる>カシュー黒塗装。側面に金箔で2重截金をする。プレートに金箔でトレードマー

          クを書く。緒留に金箔で弦を書く。金箔は時代感を出すために、薄く禿げたように見えるよう

          に処理する。振り子扉ガラスに金箔ガラス絵を書く。

           

           

           

           

          11、塗装を保護していたマスキングテープを剥がすと、ようやく本体が姿を現します。

           

                                           制作 和時計師 匠 亞陀

           

                                      続く


           

           

          2017.07.03 Monday

          💗 台湾のパワーコレクターO氏のコレクションです。

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            5月下旬に、私のブログ愛読者であります台湾のO氏(60歳)が、工房にお越

            しなられ、収集方法の苦労話に始まり古時計談義で暑く語り合い、意気投合し

            ました。 

             

            日本に暫く住んでおられたそうで日本語は堪能です。台湾は言に及ばず中国国

            内にも数カ所の拠点で工場や営業所をお持ちで、手堅く経営されています。

            手当たり次第の収集段階を終えて、日本製に魅力を感じ現在は精工舎の全都市

            シリーズに目標を置いているそうです。

            動かない時計はご自身で修理をさなれ、疑問を解くために来房目的と判り、技

            術的な質問にはできるだけ丁寧にお答えし、親交と日台友好を深めました。
             

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             左 匠 亞陀  右 台湾のO氏 (工房 亞陀にて5月24日)


            後日、届いた添付画像には白亜のコレクションルームに整然を飾られ世界中の

            計を目にして、その質と量、種類、クオリティーの高さには驚くばかりです。

             

            レア物をはじめ、拘りの機種がさりげなく混在しています。なお、大理石床の

            レクションルーム公開に当たり、O氏からは、快くご了解して頂居ておりま

            す。

            お話では、ebayはもとよりオランダのcatawaki、台湾のmyday.com.tw の

            日本Yahoo!拍賣などの海外オークションでは時折、日本の珍品時計を見つけて

            おられます。

             

            オランダのcatawaki

             

            台湾のmyday.com.tw

             

             

            これ迄、チクタクの中年探偵団と徒党を組んで、名だたるパワーコレクター宅

            をお尋ねして、収集欲を満たす限界を超越した膨大なコレクションを拝見させ

            て頂きましたが、今回は一味違う高貴な気品を感じてしまいます。

             

            では、広大なコレクションルームへようこそ!

             

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            2017.06.12 Monday

            💗 190年の時動き出す

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              190年の時動き出す 故障の時計を落札し修理、金沢の井上さん - ホッとニュース |

              6・10 時の記念日 石川県ローカル・北國新聞社より

               

              http://www.hokkoku.co.jp/subpage/HT20170610401.htmj

               

               

               

               

               

              2017.05.30 Tuesday

              1830's American-Wooden Works clock movement  

              0

                       アメリカの作品 1830年代 Boardman Ogee 置時計木製のムーヴメント

                 

                以前から米国製で、古ぼけて変色した木製の基盤に木製歯車で組み立てられた、

                一風変わった時計が気になり、好奇心を掻き立てられダメ元でジャンクマシーン

                を購入しました。

                 

                タイプ5.113   ジェロームズ・アンド・カンパニー製造

                 

                 

                 

                サイズ h  202mm w 163mm d 60mm

                 

                調べてみますと、1830年頃(和暦では天保年間)にアメリカの西部開拓時代に生

                産していた分銅式置き時計の木製マシーンだと判明しました。

                 

                当時はジャクソン大統領でインディアンとの抵抗戦最中、アメリカも産業革命を迎え、

                鉄道や航路が発達し、国内市場が拡大した。1850年代までに北東部を中心に重工業化

                が進み大都市圏が登場、企業経営を行う経営者や資本家が台頭し、資本主義社会とな

                った。そんな時代背景。。。。。。。

                 

                 

                当時の唯一の選択肢は、高価な欧州の時計を輸入することでしたが、一般家庭は安価

                な物を求めていました。とは言え、伝統的な金属製の仕組みを作り出すために必要な

                製造能力が欠けていました。

                そこで、

                 

                東部の海岸に生まれた容易に入手可能な硬材に目を付けました。樫材の基盤、桜材の

                歯車(軸は鉄)、金属製部品はガンギ車やアンクルのみで、強度的もに弱い木製時計

                が左右の分銅(2kg ×2)を下げて動くこと自体が不思議でたまりませが、確かに動

                いています。振り子は168グラムと非常に重く、また振り子棒長さも60センチで、

                歯車の歯型を回転方向へ僅かに傾け、モーメントを弱する優れた設計です。

                 

                分銅を下げる紐は一旦天井の滑車に引っ掛けて、できるだけ伸ばして稼働時間を持続

                する工夫がされています。このため、時計全体が大型化した置き時計となっています。

                多くは30時間稼働であり、ロングケースやフロアクロックキャビネットが一般的でした。

                 

                1825年 コネチカット州ブリストルのサミュエル・テリー製造

                ダイヤルのコーナーや中央付近には華麗な金箔デザインを特徴としています。

                 

                 

                 

                サイズ h 810mm  w 500mm       d 160mm 

                              disk 12inch

                 

                映像を通して実態を感じていただけます。

                 

                分銅を巻き上げる回転方向が通常とは異なり左右共に外巻きとなっています。間違って

                内巻きにすると歯先がすぐ折れるので、注意が必要です。ドーナー部品は皆無に等しく

                とも、木工加工に長ければ怖くはありません。

                 

                歯先の補修例

                 

                後に、木製マシーンは真鍮製に変化して行きますが、分銅方式とケースの様式は引き継

                がれ、最終的には分銅を捲き上る部分がゼンマイになりました。

                 

                分解してみると案の定、作られてから187年も経過していると歯車の葉先が割れたり、

                亀裂がある、欠落、折れたり、すべてのほぞ穴(基盤に空いている歯車を差し込む穴)

                は楕円形にすり減る、樫は思った以上にに堅く、すべての歯車軸は基盤に接触していた

                部分だけくびれてすり減り段差が発生していた。しかし、歯車の形状は磨耗が見られず

                原型を保っています。

                 

                第一工程は、葉先の不具合箇所にはいわゆる入れ歯や接木加工を施し歯車を修復、歯車

                軸径の異なるホゾ穴を大きめに思い切ってドリルで開けまして、そこに歯車軸径の異な

                る真鍮パイプを埋め込む作業が(ブッシング)永遠と続きました。これらの穴の中心がず

                れると歯車がスムーズで噛み合わなくなり一番骨の折れる作業でした。また、パイプが

                抜けないように膠で接着しました。

                 

                 

                組み立てるにも、一枚板の基盤だけに、のぞき窓がなくて、外部から軸穴(ホゾ穴)の

                位置が非常に見づらく(見えない)輪列を組むことも困難を極め、相当の忍耐が必要で

                す。組み立て途中、不手際で歯先は折ってしまう等、散々な目に合い二度とやりたくな

                いような分解組み立てでした。

                軸は鉄ですが、歯車は桜材やリンゴ樹材が使われ、加工が容易で硬くて粘りがあって、

                変化が少ないが、180年近くも経つと意外と脆く、無傷で残っているのはあまり見

                かけず、割れ・欠落・折れは覚悟の上で修復します。ミーリングマシーンを使って精密

                に造られ、強いトルクが負荷する歯先は回転方向に傾け、弱いトルクが負荷する歯先に

                はインボリュート曲線に使い分け、快適に回転します。逆回転させる事は禁物です。!

                 

                次回は、同じ1820年代にドイツ・ブラックフォーレスト地方で生まれた木製基盤に

                組み込まれた鳩時計の原型とも言える、珍しい時計をご紹介します。

                 

                                和時計師  匠 亞陀

                 

                 

                 

                2017.03.05 Sunday

                🔴 ユンハンス・ミドルサイズ・オルゴールクロック

                0

                  ユンハンスの4インチ一日巻き小型のオルゴールスリゲルは時折見掛けます。

                  小差なケースから正時を告げる澄み切った大音量のオルゴールはノスタルジ

                  ックで優雅が漂い、とても人気があります。

                  これは、ゼンマイ車に接する2番車の傘歯車がオルゴールのシリンダーを

                  ダイレクトに廻すため、強力なトルクで音量が大き響きます。

                  オルゴールプレートは裏板の中央に取り付けられ、最良の箱鳴り状態となり

                  響が素晴らしいもの頷けます。

                   

                   

                   

                   😞   今回リメークしたユンハンス・一週間巻き5インチ中型オルゴールクロックは、

                  4本脚オールドマシーンを使用・香箱入りゼンマイ・琺瑯の干支と振り子玉、

                  ビートスケール。

                   

                  不調法で曲名はわかりませんが、渦巻き鈴の時報とは違う優しく奏でるオルゴール

                  の温もりで心がリフレッシュされます。

                   

                  3番車の傘歯車からシリンダーを廻すためトルクが若干控えめで音量も弱めですが、

                  持久力に長けています。弱いパワーで一週間も稼働するオルゴールの調整が難しい

                  のが難点です。

                  古いオルゴールだけに、シリンダー両端の三角錐状軸穴は、経年劣化で異常なほど

                  拡大、偏心していて修正に随分手間取りました。

                   

                  禿げかけた金塗装・なくなっていた擬宝珠・朽ちていたプリント干支や振り子玉等

                  をリメークしてようやく蘇りました。

                   

                   

                   

                  プロポーション 5インチ干支 高さ 82cm 幅34cm 奥行き 19cm

                   

                  癒されるオルゴールがお楽しみいただけます。

                   

                   

                   

                   

                   

                   

                   

                  2017.02.03 Friday

                  精工舎 オール黒柿姫ダルマの創作

                  0

                    工房 亞陀のホームページ

                     

                    http://takumiada3.daa.jp/Photos/Welcome.html

                     

                     

                    (抄)  work4 「黒柿姫ダルマケースの制作」から転用

                     

                     2008年2月、探してもそうは簡単に見つからない黒柿姫ダルマケースの制作を

                    依頼されました。本物の精工舎の下地漆仕上げ姫ダルマジャンクを使い、文字盤

                    枠と振り子枠それに中間部の装飾板を黒柿に改造して欲しいとの事で、これまで

                    に黒柿ミニヴァイオリンを制作した経験が買われたようです。

                     

                     中間の飾りが違う5花弁ボタンとダイヤボタンの2種類を制作しました。黒柿

                    の黒斑模様は指紋と同様に、この世に唯一無二となり、私が手塩にかけた only 

                    one の証となります。

                     

                     この先どなたの手に渡ろうと、私が復刻した黒柿姫ダルマには代わりがありま

                    せんし、黒斑を見れば判別が可能です。

                     

                    5枚花弁ボタン・タイプ

                     

                    ダイヤボタン タイプ

                     

                     

                     通常、黒柿ケースとは言われても、彫刻部分は無垢の黒柿を用いますが、柱や

                    平面は桂材の上に厚さ1ミリ程度の黒柿すき板を膠で貼ったものです。

                     

                     今回は断面が波状のダルマ枠なのですき板貼りとは行かず、黒柿材厚5ミリ下

                    板である桂材厚7ミリの合計16ミリ合板にしました。黒柿の黒斑模様を4枚で

                    斑を揃えるのは至難の技でよく似た斑模様の材を数多く用意する必要があります。

                     

                     さらに、丸枠だけに文字盤枠は4枚(角材)で、振り子枠は6枚(角材)の木

                    組板をそれぞれ、ビスケットジョイナーを下板桂部へ埋木をして強度を持たせ、

                    丸枠を寄せ木で組みました。

                     

                     凹凸部の湾曲ははルーターで削ります。この時は黒柿部をうつ伏せにした裏面

                    状態で削るため肝心の表面が隠れルーターの刃を見る事ができず、湾曲の深さや

                    幅は注意深く測定しながらの勘に頼る作業は一発勝負で、削りすぎると万事休す

                    となります。

                     

                     寄せ木部分は黒斑が揃わず不自然になるため、目立たないように薄墨修正します。

                     

                     

                     

                     

                     以上2台の姫ダルマは私が黒柿部分を復刻した事を充分ご認識されてお買い求めなさ

                    いました。需要と供給からして、本物が欲しくても絶対数が無く、新たに作るご要求に

                    お応えしたものでリプロ商品には違いありません。 

                     

                    ところが、数年前にあるコレクターが展示会でこの黒柿姫ダルマを明治時代に作られ

                    たと吹聴して高価な値段で売ったと知り、その方の常識を疑います。

                     

                     

                        ========  ブログに戻ります   ===============

                     

                     

                     

                     

                     その時以来、側板を含め全てのケースを黒柿で作らないかと要望がありましたが、

                    黒斑の硬い部分と白斑の比較的柔かい部分が混在し、曲げ加工は難しいとされ自信が

                    持てず躊躇していました。

                     

                     1台分の黒柿上下ガラス枠のスットクに背中を押され、曲げ加工に用いる外型枠

                    作り準備を整えました。外型枠を使った側板の曲げ作業はスリット(溝切り)の深

                    さと切削加工の安定化、溝の数、均等な溝の間隔、温熱曲げの最適な温度と曲げる

                    タイミング、スリット部分割れの恐怖などの不安材料の一掃との戦いでもありました。

                     

                     

                     

                     

                     

                    🔴 黒斑模様を生かした木取りで切削された材を、技巧的に木組みするか、高級な材

                    は失敗を許されず、その加工に挑戦した記録です。

                     

                     

                     

                                           

                                   和時計師  匠 亞陀

                    2017.01.05 Thursday

                    希少 ミニチア・スレンダーヴィエンアー

                    0

                      外国のオークションで落札しようとすると、思わぬ事態に直面します。

                      1、注意書きに「日本には売ってやらないよ」と宣告しているアイテ

                        ムが最近増えています。そんな時は直談判を始める。

                      2、落札て振り込んだのに何度メールしても一向に返事かこない。

                      3、落札したのに、互いのカードシステムの違いで決算ができない。

                      4、オークションのシステムを無視して、売り手が直接決済をしたいがため、

                        コンタクトで互いのアドレスを交換を試みると、システムが自動的に

                        コンタクト機能不全になり、落札したのに支払いができない。

                      5、英語圏以外と売り手の取引で、まずい英語ではスムーズな意思疎通がで

                        きない。

                      6、アイテムが到着後売り手の輸送費の計算ミスを見つけ、返金交渉をする。

                      7、うっかり戦争中区域の売り手と知らず落札、ところが国の郵便機能が麻

                        痺していた。

                       

                      英語が堪能でもないのに、取引上のトラブルを克服して工房に渡来した内の

                      一台、スレンダーで優美なミニチュア・ビエンナーをご紹介したします。

                       

                       

                      華美な装飾を一切そぎ落とし、時計美と極小化を求め他の追従を許さない

                      世界的にも希少な、アーティスチック・ビエンナーです。

                       

                       

                       

                      1830年 ウイーン製

                      ローズウッドケース、木象嵌枠、吹き付けガラスはパテ止め

                      高さ 43cm 幅 16cm 奥行き7,5cm  琺瑯干支径    6,8 cm

                      1日半巻き、マシーンはスライド式の固定、振り子棒・振り子玉はリメーク。

                       

                      奥板は長年の乾燥で内側凸状に変形し、振り子背面と接触。凸部分をできる範囲で

                      そぎ落とし平面とし、黒檀の突き板を貼りました。

                       

                      振り子玉の重さは非常に軽過ぎて全く時間が合わず、振り子玉の隙間から鉛37gを差

                      し込んで役目を果たしました。

                       

                      通常の見かける、上宮飾りや下宮擬宝珠のホゾ穴の形跡が無く、物足りなさを感じた

                      ものの、シンプルの真髄に感服した次第です。

                       

                       

                       

                       

                       

                       

                       

                      動画です。

                       

                       

                       

                                              匠 亞陀

                       

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