2018.09.26 Wednesday

極小ビエンナーケースを製作

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     極小ビエンナーケースを製作

     

     

     

    2015/11/15 中部地方のある海岸に面した中核地方都市にお住いの

    コレクターXYZ氏邸をお尋ねした時、衝撃を受けた極小ビエンナーを発

    見しました。

     

    そのお宅は田園に囲まれた一見ごく普通の民家ですが、ドアを開けた途端

    一階はガレージになっていて別世界が広がります。小さなロールスロイス

    と呼ばれているオーナー拘りの英国・名車”バンデンプラス プリンセス 

    マークII ”がさりげなく停まっていました。

    背後のロッジ風リビングルームの壁とゆう壁にはマニア垂涎の憧れユンハ

    ンスが二階まで整然とレイアウトされ、白堊の干支が来客を和ませてくれ

    ます。

     

    中でも小型モデルが充実しその量とクオリティーにど肝を抜かされ、オー

    ナーの見識深さに圧巻されます。カタログやアンティーククロック関連の

    書物で見た物ほぼ全てを網羅しています。

     

     

     

     

     

     

     

    ここに来た目的の一つである珍品レンツキルヒ黒塗り極小ビエンナー

    を食い入るように各方向から眺めこれなら内心、これまでミニヴァイオリンのケース

    を作った失敗と経験を活かせば何とか「私にも作れそう」大胆に発意。

     

    意を決して、ケースを製作をしたいと申し出た処、快く了承され胸をなで下

    ろしました。

    先ずは、絶対この世には存在しないであろう黒柿材で2台(内一台は亞陀用)

    後に黒漆り(桂材)2台のご依頼をを承まりした。その時点ですでに専用の

    マシーン(専用の振り子・干支・ビートスケール)を3台分をお持ちなのには、

    空いた口が塞がらづ、熱の入れようが尋常ではないと判りましたら。

     

    別に急がないお約束を鵜呑みにし、他の仕事の合間合間での作業だけにこれら

    4台のケース製作に3年も費やす結果となりました。

     

    十分に乾燥したつもりの桂材( 一部檜葉材)黒塗りケースは、小型故に細くて薄

    い木材だけに、途中で歪んだり乾燥収縮が響き重ね塗装での修正に散々手古摺

    り終わってみれば、6回も塗り重ねていました。

     

    黒柿ケースは塗装の手間がないとは言え、硬材故の湾曲、曲面の仕上げも其れ

    なりに苦労が多く、、、、、

     

     

    これら4台を白木状態からの製作過程を記録した画像を、ユーチューブに2本アップし

    ました。

     

    黒塗りミニチュア ビエンナー

     

     

     

    レンツキルヒ 極小ビエンナー黒柿ケース製

     

    2018.09.12 Wednesday

    ユンハンス黒柿総彫スリゲル の彫刻

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      ユンハンスの黒柿総彫りスリゲルにしては珍しい、なで肩アール屋根の上宮制作の依頼です。


      上宮飾りはアール屋根の高さが意外とあり、手持ち黒柿の幅の広い板をいくら探しても
      なくて困っています。噂では、某国の業者が高価で買い占めているので、高価になった
      上に品薄で、良く筋が通った黒斑が少ないのが悩みです。
      最悪時は上下二枚を貼り合わせて幅広にするしかありません。

      ケースの状態は数箇所に他の部材に墨で筋を書き入れた偽黒柿の板が用いられていたり、
      底板の両脇にあった小さな装飾柱と、正面下中央の欄間彫刻も無くなり哀愁が漂っています。

       

      依頼主とご相談の結果、厚めの黒柿鳳凰透かし彫りに。早速下絵を描き
      硬く黒斑と柔らかい白班が入り乱れ、彫り辛い黒柿との格闘の前に、彫
      刻刀と欄間用小道具刀を堅木用に鋭く研ぎ直します。

      果たして、聖徳をそなえた天子の兆しとして現れるとされた、孔雀に似
      た想像上の瑞鳥である鳳凰を彫れるか、火蓋が落とされました。

       

       

      尾羽は複雑に絡み、羽毛の細かい筋をできるだけ細く彫り、立体感と遠近感を感
      じて頂けるように仕上げました。

       

       

      前面の彫りの深さ加味しながら、丁寧に裏面も彫り正面から観て立体的に仕上げます。

       


       

      ケースの色彩に合わせて彩色しオイルステインでつや消しコーティングを掛けて
      表面を保護してあります。
      話変わって、鳥の図鑑や写真に写った画像は何故かほとんどが左向きです。当の
      鳳凰も御多分に洩れず左向きに彫られています。この方が美しく愛想らしく見え
      るように思えませんか。右利きで彫刻刀を持ちますと、左手でしっかり材を支え
      られ安定さて、曲線や細やかな彫りができます。

       



       

       

       

       

      未熟者故、まだまだ発展途上段階では試行錯誤ばかり愚作集です。

       

       

       


       

       

       

       

       

       

       

       

      2018.08.04 Saturday

      Hemle Clock Tubular bells, Chimes Movement の修理

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        地元の時計屋さんから修理ができないと断わられた大型分銅式時計

        が、工房に持ち込まれました。事前の問い合わせのでは、ごく普通

        の3っの分銅が下がったグランドファザーだと伺い、それならケー

        スを持ち込むのは大変なので、文字盤を含むマシーンと振り子、分

        銅をそちらで外してお持ちくださいとお願いいたしました。

         

        ところが、普通のグランドファザーよりも大型で分銅5Kgから7K

        gと重く、基盤の厚さも厚くしてあるようだが、歯車軸のトルク負

        荷が異常大きく、ホゾ穴のほとんどは摩耗が顕著で楕円形になって

        います。メカニック的にもやや複雑です。

        特徴的なのが、5枚の板バネがしなやかに揺れ先にはハンマーが付い

        ています。その板バネには揺れを規制する糸が繋がれ、チューブラベ

        ルだと解りました。

         

        マシーンを取り付け完成した時の達成感に満ちたポーズ

         

        中には歯車を軸から抜かないと絶対分解できないものが二つあり、下

        手に軸から抜こうなら、軸が折れたり曲がるのは明白で、国内には専

        用の治具はなく、米国の材料店から取り寄せて難を乗り切った。

         

         

        ンマーで打つのは棒鈴ではなく、5本のチューブラ・ベル(教会な

        どにある鐘を、コンサートの舞台で演奏しやすいように、管状(チュ

        ーブラー)にして、ピアノの鍵盤の順番と同様に並べて吊るした楽器

        である、「コンサート・チャイムズ」あるいは「シンフォニック・チ

        ャイムズ」などともと呼称される。

        日本においては「NHKのど自慢の鐘」と紹介すれば、一般にも馴染み

        のある楽器である。)が響く素晴らしい音響のウエストミンスター方

        式でした。肝心のチューブラーはケースに取り付けたままで工房には

        なく、ゴージャスな音色は想像するしかなく、最後の取り付けまでの

        お楽しみとなりました。

         

        先ずは、複雑怪奇なメカニックを理解して、各方面からの画像を写し

        てカムの噛み合い角度・深さ・ピンが差し込まれた歯車の取り付けが

        負荷異なりで変化する角度とストッパーカムの位置・回転カムの取り

        付け位置・の確認と記録から始め、 時方・打ち方・ウエストと各ブロ

        ック分解しながら、全パーツの点検と洗浄をします。

         

        ヘビーな分銅は各部品に多大なプレシャーを与え、中でも厚い基盤に

        も関わらず各ほぞ穴は楕円に拡大、時方の上基盤を貫き日の裏車に絡

        む3番車の磨耗が顕著で、軸の中間に基盤と交わる部分が異常にすり

        減って窪んで段差が発生しています。
        軸の両先を削ると使用不可能となり万事休す、そこで段差の幅で0、

        3ミリのスチールシールをリング状に加工して溝を埋めで軸径を保ち

        事なきを得た。

        分針の緩みを抑える強力な皿バネを取り付けるには、2方向から支

        えながら他に強烈な圧力で皿バネを押し付ける作業は、手が3本必

        要な締め方でこれには少々手こずりました。

         

         

        ピン付き歯車の取り付け角度が例え歯先ひとつでも狂うと、全く打

        ち方機構が機能しないのでナーバスになって納期が遅れても致し方

        ありません。

        結局、9月にお預かりし紆余曲折もあり、年を越して翌年6月に納

        品しました。

        同時にウエストの置き時計と同時進行だったので、机上は混雑して

        記録撮影どころではありません。

         

        ご覧のように、1メートル近くの振り子を取り付ける台はハシゴ兼

        用脚立を使用。

         

         

         

         

         

         

        複雑そうに見えるカラクリをお楽しみください。

        2018.07.23 Monday

        オリジナルと思しき小鷲補足

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          精工舎一連のいわゆる座敷時計全種類を長年に収集

          し製品全般を研究されておられるK氏から、解明の

          一部を寄稿していただきました。

           

           

          座敷時計の生産は明治43年の販売開始から関東大震災の工

          場倒壊で製造が一時休止する約14年間を一つの区切りと考

          えています。
          パリ、ベルリンを代表とする主たる機種の生産はこの期間

          です。筋硝子、小角丸、スエズなど一部の機種が昭和期に

          それまでのデザインにアレンジを加え生産が再開されまし

          た。

          座敷時計の中でもパリ、ベルリン、筋硝子、小角丸などは

          販売当時から万人に好まれる機種であったようで、現存す

          る個体数が非常に多いです。
          反対に製造数が少ない機種は現代でお目にかかれる機会は

          非常に少なくなっています。

          実機検証によりこれまで多くの座敷時計を比較検証してき

          ました、特に現存個体数の多いパリなどの機種はサンプル

          数も多くその違いを見いだすことができました。
          座敷時計は製造期間が10年以上に亘る機種もあることから、

          特に擬宝珠など脱着可能なパーツに関してはかなりの違い

          があります。

          当時の製品カタログの図版は大体同様の図版が継続して使わ

          れており、その形状はほとんど変わりません。
          しかし、現存個体でオリジナルと推定される擬宝珠を図版と

          比較したところ、どの個体も微妙に形状が異なります。
          然るに、当時の精工舎の製品管理において、時計本体の形状

          はカタログとほぼ同形状の製品が製造されたようですが、擬

          宝珠等の末端部パーツ形状の差異は大目に見られていたと推

          測されます。

          今回焦点になっている小鷲はそれなりに人気があったようで

          すが、現存個体数は少なめです。
          鷲像はカタログ図版ろ同形状のものはこれまで実機で発見さ

          れておりません。また、オリジナルと推測されるものもカタ

          ログ図版とは異なります。


          上記の擬宝珠と同様に、現存個体から推測するに、当時の製

          品現場では、脱着パーツの形状にそれほどカタログ図版と同

          形状に拘っていなかったと考えられます。

          精工舎の座敷時計において、実機を数多く検証・見聞した人

          間はさほど多くはないと思われます。少なくても、研究とい

          う観点からアプローチした資料は今のところありません。
          残存資料がすくない座敷時計の解明は実機検証をひたすら続

          けるしかありませんが、一定の知見が蓄積した折にはその成

          果をまとめて公表できればと考えております。

          以上

          2018.07.19 Thursday

          オリジナルと思しき小鷲

          0

            これまでご紹介した絶対個数が少ない精工舎の「小鷲」を偶然
            にも数台を工房でお預かりした物は、すべて小鷲が失われて、同
            社のカタログにある小鷲には未だ、お目に掛かった事さえありま

            せん。


            過去に、2017.12.07 精工舎『小鷲』上宮と小鷲レプリカ製作に

            も報告したように、収集した資料はことごとく形状が異り、これ

            がオリジナルと断言できるものはなく、カタログを信じたくも謎

            は深まるばかりです。

            あるオークションで鳥居氏のアンティーククロック図鑑と同型
            と思われる頭部が折れた小鷲を落札したので、頭部の復元依頼
            をK氏からお預かりいたしました。その条件は、「アレンジ、オ

            リジナル要素は一切不要に願います。」と厳しい制約がありまし

            た。

             

            アンティーククロック図鑑より
             

             

            k氏が落札した首無し小鷲
             

            アンティーククロック図鑑の小鷲画像は小さくて、不鮮明でしか
            も下から見上げた構図なので正面から見た姿をイメージを想像す
            るしかありません。
            翼の表情も異なり、翼の幅は狭くしかも右の翼は折れたていたの
            を継いであります。先ずは依頼者が解析した画像を原図とする条
            件で復元開始。

               解析した小鷲

             

            私の検証
            その材質は和菓子の落雁に使った型板に、粘土を型押した陶器製

            の焼き物に漆を塗った物でした。大量少量を問わず簡単に作れま

            す。
            年代的に見ると焼き物が一番手っ取り早く、数種類を作るのも可

            能かと。

            固定法は所謂ダボを立ててホゾ穴に差し込み更に、鷲の左脚下に

            ある小さな穴に、釘を斜めに深く打ち付け、簡単にはとれないよ

            うな作りになっていました。

            図鑑の解析鷲ではあまりにも精悍さが足りず、嘴やまん丸い目の

            周りに稚拙さが際立ちます。解析よく見ますと時計を下から見上

            げて写したもので、微細な表情を読み取れず、正面は想像して作

            るしかなく推測の域に留まり、多少の甘さはご容赦願います。

            正面の方が見えなかった部分は部妙に盛り上がって見えて来ると

            想像されます。また、白い下地の時と色つけした後とでは、大小

            の大きさの印象が違って見えたり、見る角度と色の変化にいつも

            視覚を惑わされ迷され私の腕の未熟さを嘆いてしまいます。

            頭部を復元する材料として、木の質感があり、磨くと独特のツヤ

            が出て、粘着力が強くためどんな芯材にもよく付き、乾くと非常

            に軽くて丈夫なり、彫刻刀で彫ることができる木粉を混入したウ

            ッディ粘土を初めて用いました。

            全体を薄く水で湿らせ空気を入れなようにしたのが功を制し、密

            度を増したらしく乾燥後も割れヒビの貫入が少なく、彫刻刀も上

            手く緻密に彫れました。
            ただ、補修箇所の裏面は補強の為に厚くしなければならないのと、
            痩せを見こ越して大柄にしてあり接触部分の段差の処理も意外と
            楽でした。

             


             

             

             

             

            頭部は嘴と眼の作りで、鷲の鋭い気性を品良く表現できるかが決
            まる重要な要素だと思っています。てな事を考えている内に、あ
            の「アレンジ、オリジナル要素は一切不要に願います。」との規制

            りよりもこの要素が脳裏から消えず、私流のアレンジが鷲に多少な

            りと乗り移った言われても言い訳ができません。


                                 文責  匠 亞陀

            _______________________________

            << ご依頼主K氏の主張。>>
            小鷲の真贋について少し私見を書かせてください。

            まず、小鷲のオリジナルフォルムはメーカーカタログの図版が真と
            する意見に異論はありません。
            ただし、これまで鷲にしても小鷲にしても、図版と同様のオリジナ
            ル鷲像はお目にかかったことがありません。
            オリジナルと思われる物件を見聞してもやはり同様のものはありま
            せん。
            然るに鷲像に関してだけ言えば、製品には図版と異なるものが載せ
            ていたのではないかと私は考えています。
            これまで数多くの座敷時計を見てきましたが、全体のデザインはカ
            タログに忠実ですが、オリジナルと思われるパーツで擬宝珠のよう
            な付属品や柱部品のような轆轤引きの部品は、カタログと異なる場
            合が多いです。
            このあたりは精工舎としても製品として大目に見てきたのではない
            でしょうか、なにせ当時の木工技術ですから。

            次に鳥居氏のアンティーククロック図鑑像をオリジナルではないか
            という推察とする根拠はいくつかあります。

            1.そもそも小鷲像というものが他にないため、他の流用パーツか
              らもってくることは考えにくい。
            2.仮に同様の大きさで近いサイズの独逸時計パーツがあったとし
              て、デザイン、造作が稚拙すぎる。
            3.214号の鷲デザインに酷似している。後世の人間が後昨したな
              ら適当なデザインにするかオリジナル図版を参考にするのでは
              ないか?
            4.214号は座敷時計ではないが、下部擬宝珠などまったく同じ形
              状の部品が多くある。すなわち鷲像も流用された可能性もあ
              るのではないか。※箱部は恐らく同様の精工舎木工部で作成さ
              れていたのではないかと推測される。

            今回私が工房に持ち込んだ鷲像とクロック図鑑の鷲像は確かよく見
            れば違います、少なくても同じ型から量産されたものではないです。
            クロック図鑑の鷲の材質も残念ながら特定できませんが、ぱっと見
            では木彫ではなく型押しに見えますが真贋は分かりません。

            私が今回持ち込んだ陶器?製の鷲は型押しの量産品であったことに
            私は注目しています。
            すなわち、工場か家庭内手工業的な方法で製品として量産されたも
            のであるということです。
            この小鷲の部品は時計の上に乗せる以外需要があったとは考えにく
            い。すなわち精工舎か外注先のどこかで作成された製品である可能
            性が高いと考えます。
            後作りなら量産する必然性はありません。量産するほど小鷲像の需
            要は他にありません。

            以上が私が今回の鷲およびクロック図鑑の鷲がオリジナルではない
            かとする根拠です。

            塗料や材の経年劣化や時間経過でオリジナルを判断するのは私は難
            しいというか不可能と思っています。
            時計が長期間おかれた環境によってその具合は異なるからです。
            ただし、本体などの部位は同様の経年劣化を示す個体が多いので、
            そこを参考に事例数と経験則で判断することはできるかと思います。
            なにせ座敷時計も100年ちかく経っていますので、どの年代で手を

            加えられたのか推測は難しいでしょう。
             

            2018.06.28 Thursday

            北國新聞読者からの投稿記事

            0

               

              6月28日 朝刊 読者投稿欄

               

                匠の手にかかり再び時を刻む

                   新村 泰三氏  

               

               

               

               

               

              2018.06.28 Thursday

              turret clock の完成を紹介する新聞記事

              0

                6月17日 地元北國新聞より。

                金沢21世紀美術館で開催された「ときめき時計展」に私の

                TURRET CLOCKを出品しました。

                 

                少しフォーカスが甘くて読み辛いのはご勘弁の程を、、

                できるだけ、映像を拡大した方が読みやすいようです。お試しあれ!

                 

                 

                 

                 

                補足 右端の切れた部分は本来『昨年11月、ドイツ・ハンブル』と書かれています。

                 

                2018.06.13 Wednesday

                turret clock の修復録 (プロローグ)

                0

                  長い間、 国内外を問わず古時計の修理修復に携わったつもりでも、この世には
                  無限の機種が存在することに気付き「時計の奥深さ」に驚かされ自分の未熟さ
                  を思い知らされています。
                  多種多岐にわたる中でも、私には「男の夢」のと言うべき憧れの巨大で重厚な
                  時計があります。それは、、、、

                  2017年1月テレビ東京系列の番組デュレクターから、欧州のブルガリアに
                  出かけてコルテン村の公民館にある時計塔の時計や分銅式掛け時計とSEIKOフ
                  ァイブ腕時計の出張修理をする出演依頼がありまして、、、、

                   

                   

                  1963年ある物理の教師によって改造さられたコルテン村の時計塔

                  資料を拝見したら時計塔の時計は余りにも巨大、私の全く未経験ゾーンで触れた
                  り見た事もない門外漢では自信が持つてず、不本意ながら出演を断りをしました。
                  後悔しても後の祭りとばかり、勉強不足を解消すべくリサーチを開始。

                  150年も前にあった工業技術の高さを見せつけられ驚きの連続で、手作りの特
                  注品にも関わらず機種の多さ、構造的はすでに完成の域に達して、今日の時計は
                  その原理を継承して小型化を計った過ぎないと悟りました。


                  私の好奇心を満たす塔時計とは、
                  砲台時計
                  Turret clock
                  Church clock
                  Tower clock
                  Turmuhrwerk 
                  Horologium 
                  とも称され、時計台に設置され、すべての方向に時間を示すために2つ以上の大き
                  な文字盤をもつ時計です。

                  2017年4月、ドイツ語圏内にあるオークションに、オーストリアの時計職人が
                  出品した黒く錆びた基盤と歯車、まさに鉄くずのTURRET CLOCK を偶然見つけ
                  ました。イベントでデモンストレーションしたと言っても、完動品だとする保証も
                  なく、高価格を見て落札を諦め望観するしかありません。

                   

                  最悪なのは、「日本には売りません」と宣言しているから拉致が悪い。

                   

                  説明
                  時計作業の準備ができました。 (硬材フレーム150cm)高さ40cm、振り子の長
                  さは約136cm。 フレームグレー鋳鉄、ハンマー、打撃真鍮、ベアリングベルトと
                  レバー機構を鍛造。 おそらく19世紀の最後の3分の1にK.Fによって修理されたで
                  しょう。 Porth、Speyer、Germany、Knobloch、Alzey、1925の碑文; オリジ
                  ナルのエレベータクランク、麻のケーブルと2つの偏向プーリーを備えた2つの鍛
                  鉄ウェイト(8Kg/12Kg)、全重  80kg。
                   マシーンは慎重にクリーンアップされ、振り子シャフトと振り子玉(8Kg)は再
                  加工されました。 近年、公的なイベントでも問題のないデモンストレーションビ
                  ジネスをした。
                   



                  ところが、3度目の再々出品にも関わらず全く入札なしに業を煮やしたのか、1
                  0%の値引きをし始めた。動くかどうか心許ない時計を活かす気概を持って落札
                  する決心までに、ためらうも迷いを振り払うある意味での賭けでした。

                  第一歩は、日本に発送を可能となる交渉で、例え言語が違っても物欲とお金が絡
                  むと、真剣に成らざる応得ません。

                  ところが、売主は私と直接取引をしたいと突然オークションを中止して送金の手
                  立てが不能となりました。以後、スタンスの違いを乗り越えた交渉の結果、国際
                  的に信用あるシンガポールの送金業社を介してのへカード支払(保険含む)いと
                  なりました。

                  決済を確認できたものの、直後一週間も音信普通だったり、不明なディティルー
                  の確認や発送日や船荷証券(B/L)番号・到着予定の問いに曖昧な返事で無駄な
                  時間を費やすばかりです。
                  気がつくと支払から一ヶ月となり遂に業を煮やし、安全対策として送金業社に異
                  議とクレーム(問題解決センターは上海)を申し立てたのは言うまでもありませ
                  ん。
                  同社規定では、送金後40日経過したら、クレームを請求する権利を失い以後は
                  売主の意のままになるとか。

                  この時点で、支払代金は送金業社によって商品の無事到着が確認されるまで一時
                  停止される処置をした。取引額が高額・レスポンスの少なさの点で、即異議から
                  即、クレーム段階へとエスカレートし、荷物の到着を確認するまでは、カード決
                  済を一時停止、私と共同で運送船の航路状況私と連携で運送船名監視体制を解か
                  ないで売り手の動向を見守る事になりました。

                  船荷証券(B/L)番号や船名が知らされてた時は、香港沖をゆっくり運航してい
                  るのを確認、後はライブで船の位置を逐一ネットで見守りました。


                  8月末に送金、オーストリアからハンブルグへ陸送、10月ハンブル港から出航
                  10月末に釜山港(国際的ハブ港)、11月初旬にようやく金沢港に入港しまし
                  た。ハンブルグから小さな金沢港に直行海運する航路がなく、どうしても釜山経
                  由となってしまうらしい。

                  ハンブルグの海運業社、韓国の海運業社(支社は福岡)金沢港の通関業者、資金
                  移動業者(国際的送金業社)との共同で貨物船の追跡監視等、オーストリア・ハ
                  ンブルグ・上海・シンガポール・福岡等関連会社とのコンタクトは十数回に及び
                  ました。

                  最後の難関、入港後の通関手続き用所定の書類提出
                  1、Bill of Lading (船証券・貨物の引き受けを証明書)
                  2、Commercial Invoice (貨物の送り状)
                  3、Packing list (貨物の中身を示す梱包明細)
                  4、商品詳細が分かる資料や写真など
                  5、Arrival Notice (貨物の到着案内)

                  入港時の諸経費と通関手数料・関税支払いと遂に輸入許可通知証・倉庫主現場ー
                  荷物検査書・消費税地方諸費税の領収書が発行され、これで完全に私に所有とな
                  り、代金は彼の元に送金されたのは言うまでもありません。

                   

                   

                  案の定、荷台パレットが壊れた唖然、黒く錆びた基盤と湾曲した歯車軸、軸受

                  け部品・歯こぼれ・小さな歯車・座金の散逸等、まさに鉄くず状態でした。

                  稼働する気配が全く感じられず、時計から『お前に、俺を直せるのか?」と言

                  う声が聞こえました。

                   

                   

                  想像以上の経費と時間を負担する破目に会いましが、外国人との交渉は丁々発止
                  と波乱に満ちた取引は、忍耐ばかりで個人輸入はもうこりごりです。

                   

                  2018.05.12 Saturday

                  匠 亞陀がボトルラベルになりました。

                  0

                     

                    平成29年4月1日第73回現代美術展の洋画部門で、私の友人である
                    大丸七代画伯が匠亞陀をモデルにした作品「時を刻む」が美術文化大賞
                    を受賞し、金沢21世紀美術館に4月16日まで展示されました。

                           右は大丸七代画伯(日展会友・光風会会員)

                    わたしは仕事の途中に何度もポーズを取らされた上に写真を撮られ、中断
                    した事は数回に及び、モデルも楽じゃなかったです!

                    地元、北國新聞の論評には「作業が一息ついたのだろうか。パイプを手に
                    腰掛け思いにふける。優しいまなざし、ごつごつした手、静かなたたずま
                    いに、人となりが浮かぶ。
                    近所に住む幼なじみの時計職人、井上悦朗さん(匠 亞陀)の仕事に向き
                    合う誠実な姿勢に惹かれて描いた。」
                    「時には誰にも平等に刻まれる。見る人がそれぞれ’に思いを重ねてほしい」
                    と具体的な描写は極力しなかった」

                     

                    これは飽くまでもたてまえで、私ははパイプは吸わないしポーズを取らされただけ!

                    手はすべすべだし、口がずは多くて誠実とは些かオーバな表現で、記者の見識を疑い

                    ます!


                    その後、この芸術作品は2018年1月18日から19日に開催されました
                    世界初となる芸術の祭典『智慧と芸術の女神アテナ・オリーブ・アートラベ
                    ル展』(日伊芸術文化教育実行委員会・主催)を通じてアートラベルとして
                    起用、日伊オリーブ・アートラベル・ドナッテラ特別金賞を受賞して偉業を
                    讃えられファイリングしたアートラベルをマッセリア・モナケ社にて収蔵さ
                    れました。

                     

                    その、オリーブ油が入ったボトルが漸く届き、対面しました。

                     

                     

                     

                     

                     

                     

                     

                    平成30年4月1日 今年もモデルをさせられました。
                    石川県立美術館にて。

                     

                    2018.02.25 Sunday

                    名古屋時計製造所・ドームガラス時計(別称・男根時計)修復

                    0

                      工房 亞陀に展示してあります名古屋時計製製造所製ドームガラス時計

                      (別称・男根時計)をご覧になられた方が、後日、収集癖が嵩じたらし

                      く結果、数年間探し求め漸く見つけられました。

                      断面が半円形のドームガラスに接触しないようと独特の振り子(男根形)

                      や干支、擬宝珠を復元頂きました過程をまとめてみました。

                       

                      最後に映像を添付してあります。

                      届いた時は、金彩ガラス絵が黒く変色以外、ご覧のようにオリジナルとは

                      いえ干支や分針、振り子は不似合いな物に代えられて擬宝珠も抜けていま

                      した。

                      上下ガラス枠の蝶番取り付け部分が弱くて閉まり具合は最悪、特にドーム

                      ガラス枠蝶番はネジ穴が甘くて二度くらい穴位置が変えら開閉が困難です。

                      早速、生気を取り戻しべく、手持ちの資料や材料をスタンバイさせ
                      然るべき対処をはじめました。

                       

                       

                      干支は以前にキャドで書いた在庫がありますが、問題はニッケル合金にクロ

                      ームメッキをした男根型の中空振り子です。オリジナルに用いられたと思わ

                      れる絞りスピニング加工(へら押し加工)とも呼ばれる平面状あるいは、円

                      筒状の金属板を回転させながらへらと呼ばれる棒を押し当てて少しずつ変形

                      させる塑性加工を依頼する方法も選択肢の一つですが加工費が高価なので不

                      安が脳裏をかすめます。


                      しからば、本家をシリコンゴムで型取りしてFRP樹脂で整形をシュミレーシ

                      ョンしましたが、中空にする中子(中型枠)を作り厚さを1ミリで仕上げる

                      のも至難の技だし、、、、、

                      色々考えた挙句、いつものロクロで木材を上下分けて挽き、銀箔を押して古

                      色仕上げをするとしました。
                      オリジナルと同じ重さにするには、木材では軽すぎるため内部に錘を入れて

                      重さを合わせば解決です!
                      心棒は鉄に銀箔を押してこちらも古色にし、最後はガングラックで黒錆を発

                      生させると本物以上の出来となりますでしょうか?

                       

                       

                       

                       

                      本物と自作品を並べてみました。​

                       

                       

                       

                      機械は過去に一回オーバーホールした形跡を残すも、振りベラ薄バネは無残にも一

                      回転捻ってありました。

                       

                       

                       

                      在庫品との揃い踏みです。

                       

                       

                      実は、名古屋時計製製造所製ドームガラス時計はもう一種類ありまして、ご存知

                      アンティーク時計専門誌「古時計図鑑・武笠幸雄著」の2ぺージ下に記載されて

                      います。東京駒場の日本民芸館に展示下あったとか。

                      風たよりでは、関東のコレクターの手に渡ったと聞いています。


                      数年前、e-bayオークションにこの時計がドームガラス挿入部分に平ガラスを入れ

                      た不可思議な状態で出品され、これを私が逆輸入しました。上宮はない、機械室に

                      は数枚の歯車がケースの中で転る定まりのジャンクでした。

                       

                       

                       

                       

                      宮製作や大きめのドームガラスの特注等、リメークの道に終止符がなさそうです。

                       

                       

                       

                       

                      動態映像をご覧ただけます。
                         

                       

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